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駐車場に辿り着いた俺は、社用車に乗り込む。
なんだか今日は予定に無い動きが多くてどっと疲れた。
背もたれに体重を預けながら、俺は先程の仮眠室の会話を思い出していた。
何なら、聞いてしまったことを後悔さえしている。
電話口では社長の楽しそうな声が響く。
"潮音。もう、放っておけないだろ。"
____この人には、お見通しのようだ。
「…社長。動く許可をいただけますか。」
"何を今更。
僕が許さなくてもそうする勢いだったくせに。
昴も絡んでるんだからね。興味深いな。
弟くんは、最近良く出てる"仁志かえで"っていう子だよね。"
「……社長が直々に動くのはやめてくださいよ。」
"さて。それはどうかな。"
「…勘弁してくださいよ。」
この親父は本当に言うことを聞かない…
急に痛み始めたこめかみを抑えながら俺はため息を漏らした。
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