02.レッドは、絆される

14/23

999人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
「…っ、」 「かえで!」 かえでは、ひよりの姿に一瞬動揺を見せたがすぐに走り出して去っていった。 「…ごめん。最悪のタイミングだった。」 「いえ、こちらこそすみません。」 かえでは、収録や撮影に会いにくるひよりを頑なに避けていた。その真意を掴めないまま、俺は先程ひよりに、俺の楽屋にかえでがいると連絡をしたのだ。 「…この後も撮影あるみたいだから、スタジオ向かったんだと思うけど。」 「はい。かえではサボったりは絶対しません。」 笑って俺にそう言い切るひよりは、やはり傷ついた顔をしていた。 "俺はひい姉と一緒にいたくない…っ" 「(聞こえてた、よな)」 失敗した。2人を直接会わせて話をさせるべきだという考えが裏目に出た。 上手くできない自分に苛立って髪をくしゃりと乱す。 「…穂積さん。もうお仕事終わりですか?」 「?ああ…」 「お腹、すいてませんか。 作ってきたので、よかったら…」 そういえば先ほどから胸に大事そうに抱えていた大きな巾着袋。 恐らくかえでのためのものだろう。 受け取った俺はその質量に驚きつつも、頭を下げて去ろうとするひよりを呼び止めた。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

999人が本棚に入れています
本棚に追加