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「(特別な子、ね…)」
この会社の人間は、人のことを面白がりすぎだと思う。
俺は美月さんとの会話を思い出して深く息を吐く。ひよりへの感情なんて、俺が1番分からなくて戸惑っているというのに。
目の前の彼女に視線をやると、呑気な顔で卵焼きをもぐもぐと食べていた。なんか腹立ってきた。
すると、突然。
「"なんだ、俺、生きてたのか"」
「、」
ひよりがポツリ、呟いたその言葉。
俺は驚いて彼女を見つめた。
「あ、急にごめんなさい。これ、私が凄く好きな映画のセリフなんです。
つい、思い出しちゃうんですよね。」
照れたようにはにかんでそう口にするひよりに、やはり俺は上手く言葉が出ない。
「なんで、その映画…」
「穂積さんもご存知ですか?
__私は、この映画に救われたんです。」
そう言ったひよりは、お箸を綺麗に揃えて置いて、ぽつりぽつりと話を始めた。
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