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結局、犯人はその後自首をします。
名推理に負かされたわけでも、劇的な出会いに改心したわけでもない。
本当に、とても些細な出来事が、彼を動かしました。
ラストで、どこか晴れやかに、最初とは全く違う顔で微笑んだ彼を見て、こんな心の動き方もあるのだと感じました。
「…良い映画だったね。かえで理解できた?」
エンドロールになった瞬間、私は笑ってかえでにそう声をかけました。
すると、かえでは黙って立ち上がり、急に炊飯器を開け、不慣れな手つきでお茶碗にご飯を盛り始めました。
「…か、かえで?どうしたの、お腹すいた…?」
その行動の意図が読めずに焦る私をよそに、かえではテーブルにどん、と勢いよくそのお茶碗を置きました。
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