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___だけど。
私は、生きているんだから。
先が見えないと不安になっていた私は、もしかしたらかえでよりも、母がいない現実と向き合えていなかったのかもしれない。悲しむ余裕が無いんじゃなくて、きっと、逃げていた。
久しぶりのきちんとした食事に少しむせながら、涙を拭って、白いご飯を口にする自分を、先ほどの映画の彼に勝手に重ねました。
私も、変わらなければ。
すると、目の前で同じように泣きながらご飯をかきこむかえでが居て。
目を合わせ、お互いぐしゃぐしゃの顔で歯を見せて笑い合いました。
この小さな弟を、守るんだ。
例えば、ご飯があったかくて美味しかった、ただそれだけのこと。
他の人からしたら小さくて、取るに足りない些細な出来事が、誰かを助けてくれることがある。
私はそのことを、初めて知りました。
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