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「……ひより。どうしたの。」
「……みんなと違う色で、変だって。」
子供は時々とても残酷なもので、「違い」を見つけるとそれを容赦なく指摘することがある。
私の瞳の色なんて、顕著にターゲットにされやすくて、よく虐められていた。なんで私だけこんな色なの、そうお門違いにお母さんを責めたくなる時もあった。
「…ひより。お母さんね、ひよりを産む時思ってた。私の瞳の色が遺伝しないで欲しいって。
からかわれたり、好奇の目に晒されるのは可哀想だと思ってたから。ごめんね。」
「……」
責めたいと思っていた筈なのに、お母さんにいざそう言われてしまうと何も言えなくなる。そんな顔をさせたいわけじゃないと、悲しい気持ちになった。
俯く私の髪を撫でながら、お母さんは優しく微笑む。
「でも、お父さんのね、産まれたひよりを見た時の第一声で全部吹っ飛んじゃった。」
"可愛い…っ!!やった、ママと同じ瞳だ!!"
「本当に嬉しそうに言うんだもん。気が抜けちゃったわよ。
これから苦労するかもしれないのにって私が言ったらね。」
"それさえも、まるごと愛してくれる人に出会うよ。お前みたいに。"
「…ひより。絶対に居るからね。これから、ひよりの全部を認めて、大事にしてくれる人。もし出会ったら、ひよりも、その人を全力で守ってね。」
お母さんのその時の笑顔は、心から優しさで満ちていた。
本当に、いつか、私もそんな人に出会う日が来るのだろうか。
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