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「…はい、話があるからと。私も、自分の気持ちをお伝えするつもりです。
潮音さんのお宅も、今日出てきました。」
「なんでそんな急に…、」
そういえば、学校からの帰りにしては荷物が多いと思っていた。
決定事項のように伝えるひよりに焦りと苛立ちが混在して鼓動を囃し立てる。
「これまでのお礼ですが、潮音さんのお家の滞在費も含めて、きちんとお支払いします。
請求先は、私のアパートの住所に、」
「…ひより、それ以上言ったら怒る。」
「、」
恐らくアパートの住所を書いたメモを俺に渡そうとする彼女の手を覆うように掴んだ。
震えているくせに、なんで離れようとするんだよ。
「……は、離してください。」
「ひより、ちゃんと説明してくれないと納得できない。」
俺は語りかけるように慎重に問うが、ひよりは俯いたまま、こちらを見ようとしない。
あの綺麗なアイスブルーが、見えない。
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