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「……松原さん、」
「さすがのひよりでも分かるでしょ?
美少年の姉、初登場。
ばっちり注目を浴びられる最高の演出だわ。」
「どうして…、」
にわかに信じられない思いで松原さんに詰め寄るも、彼女の様子は何も変わらない。
トークが進んでいくのをただ見つめることしかできない自分を急かすように鼓動のスピードが上がった。
何とかしなければ。
だけど、どうやって?
混乱の中で続くその押し問答には、決着がつけられない。
焦りだけがどんどん増していく。
「ひより。ここで貴女が逃げ出したら、今度はかえでに迷惑がかかるって分かるわよね?」
「、」
「諦めて、着替えてきなさい。メイクさん頼んでおいたから。
デビューして、かえでと同じ事務所に所属するなら、これからは一緒にかえでと暮らせるわよ。」
なるほど、そういうことか。
だから松原さんは私を今日呼び出したんだ。
私、やっぱり詰めが甘い。
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