03.レッドは、知る

18/41
前へ
/87ページ
次へ
____だけど。 「い、やです。」 「え?」 「…嫌です。私も、かえでも、人形じゃありません。 自分の意志で、自分が行きたい場所にどこへでも行ける。」 ぎゅ、と拳を痛いほど握りしめる。 こんなこと、以前の私なら絶対言えなかった。 でも今は。 大事にしたい弟と、夢と、 「___ひより。」 好きな人が、いる。 かえでが大好きだったレッドの彼は、急に現れて。 何度も、私たちを助けてくれた。 もう会えなくても、少しは成長したと思ってもらえる私でいたいから。 穂積さんは、こんな風に私の考え方まで変えて、そばにいなくても私を支えてくれる。 好きだなあ、なんてこんな時なのに心から思ってしまった。 直接言えなくても、良い。 ____思うだけなら、許してくれる?
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

999人が本棚に入れています
本棚に追加