03.レッドは、知る

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"かえで君は、穂積さんの作品で何か好きなものある?" "んーそうですね、やっぱり、「取るに足りない話」ですかね。" 「_____え?」 かえでの言葉に、私は自然と言葉が漏れていた。 "かえで君大人な感性してるね…!でも私もあれは凄く印象的でした。ヒーロー役からの、犯罪者役は挑戦でしたよね。" "…そうですね。賛否両論だったと思います。   でも、救われたと言ってくれた人がいて。  それだけで、俺は充分でした。" そう言って優しく笑う彼が、ぼやけていく。 「、」 す、と頬を冷たいものがこぼれ落ちる感覚に、自分が泣いていることを知る。 あの食堂で、ご飯をかき込んで涙していた彼は。 __私の、好きな人だった。
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