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"かえで君は、穂積さんの作品で何か好きなものある?"
"んーそうですね、やっぱり、「取るに足りない話」ですかね。"
「_____え?」
かえでの言葉に、私は自然と言葉が漏れていた。
"かえで君大人な感性してるね…!でも私もあれは凄く印象的でした。ヒーロー役からの、犯罪者役は挑戦でしたよね。"
"…そうですね。賛否両論だったと思います。
でも、救われたと言ってくれた人がいて。
それだけで、俺は充分でした。"
そう言って優しく笑う彼が、ぼやけていく。
「、」
す、と頬を冷たいものがこぼれ落ちる感覚に、自分が泣いていることを知る。
あの食堂で、ご飯をかき込んで涙していた彼は。
__私の、好きな人だった。
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