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「お前は本当に、なにも気づかないのな。」
「す、すみません。あの、映画のことも私…」
「あの役するのに、相当減量もしたし、当たり前だけどレッドとは別人の俺で臨みたかったから、まあ本望ではあるけど。」
でも普通は気付くだろ。
もはや楽しそうにそう言って笑う穂積さんに、私の顔には熱が溜まっていく。
でも、きちんとお礼を言わなければ。
「……穂積さん、」
「もうちょっと待って。」
目線を上げた私と視線を絡ませた彼の表情はあまりに甘くて。
私の言葉を制するその意図が読めず、はてなマークを浮かべていると
「お取り込み中ですか?」
そんな声がドアの方から聞こえた。
そこに立っていたのは、潮音さんと、
"君と昴は、"住む世界が違う"、から。"
あの時お店に来た、綺麗な笑顔の彼だった。
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