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「お疲れ様です。」
「「お疲れ様です…っ!」」
今日のスケジュールを終え、廊下ですれ違う女性スタッフ達にそう挨拶をする。
ニコリ、張り付いた笑顔で微笑みを贈ればトーンの上がった声で返事が返ってくる。
この気持ち悪い笑顔に気づかないもんかね。
早く帰りたい。
溜息を漏らし、そう思いながら歩いていると前方から何かが物凄いスピードで向かってくるのに気がついた。
嘘だ。気づいた時には遅かった。
「……いっ、た。」
強い衝撃に耐えきれず尻もちをつく形になった俺は、事態の把握に時間がかかった。
「ご、ごめんなさい…!」
そんな謝罪の声が同じ高さから聞こえ、ぶつかられたのだとやっと分かった。
「本当にすみません…っ、お怪我無いですか?」
座り込む俺の目の前には、そう尋ねる人影。
焦ったようなその高い声に、漸く目を向ける。
そして。
その大きなアイスブルーの瞳に、一瞬で捕らえられた。
す、と綺麗な鼻筋に薄く小さな桜色の唇。誰がどう見ても美人だと言うであろう端正な顔立ち。
栗色の長い髪が毛先だけふわりと揺れている。
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