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「…かえで。
前に、"見ず知らずの俺たち"って言ってたけど、違うよ。俺はお前のこととっくに仕事仲間だと思ってる。」
そんな2人に近づいて、しゃがんだ俺はかえでと視線を合わせる。
「熱が出たって、お構いなしに撮影第一で動くんだ。お前は立派な役者だよ。」
笑ってかえでの頭を撫でると、かえでは照れ隠しのように子供扱いすんなよ、と頬を膨らませた。
「でも、別に俺はヒーローじゃないな。」
「…え?」
「俺はひよりとかえでだから助けたんだよ。」
「俺たち限定ってこと?」
「そう、だって俺、基本は面倒なこと嫌いだから。」
ヒーロー失格じゃん、と呟くかえでに俺は微笑む。
良いんだよ、大体俺をレッドなんて呼ぶのお前らだけだから。
___ひよりとかえでが笑っていれば、それでいいよ。
そう伝えると、かえでは綺麗な瞳を滲ませて困ったような表情を見せて。
「…すばる、来てくれてありがとう。」
そして、嬉しそうに歯を見せて屈託なく笑うから、俺も釣られて笑った。
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