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昨日の夜、かえでは俺に電話をしてきた。
急に生番組でのトークが決まったと。
サプライズゲストが登場する予定だが、あの松原という女にいくら聞いてもその人物のことは言わないという。
嫌な予感が止まらなかった俺は、急いでその収録スタッフに聞き込みをした。
「…詳しくは言えません。ただ、素人の方だと、聞いています。」
「っ、」
___予感は的中した。
ひよりを呼び出していることも合点がいく。
でも、ひよりに直接何を言っても、俺を突き放したと思っている彼女には、今は俺の言葉をすんなり届くとは思えない。
「…っ、潮音さん!明日、俺生放送出るから…っ!」
事務所に戻った俺は、汗だくのままそう伝えた。
「なに?」
事態を説明する俺に、潮音さんは嫌な流れだと顔を歪めた。
「マネージャーにスケジュールは確認してある。多分大丈夫。」
「…お前はまた勝手に…」
「__あの子は、昴から離れたんじゃないの?」
いつから聞いていたのか、社長が後ろからそう尋ねてきた。
「あの覚悟を決めた青い瞳は、俺も嫌いじゃなかったけどね。」
「……ひよりに、会ったんですか。」
社長は、窓の外を見つめながら軽い口調で続ける。潮音さんは、この人はまたいつのまに、と疲労気味の顔で気まずそうに呟いた。
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