03.レッドは、知る

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「昴と君は、世界が違う。そう伝えただけ。 彼女も理解してくれてたけど。 昴。 彼女と何か噂が立ったらどうするつもり?」 「…っ、」 ひよりがもう関わりたくないと言った理由が分かった。 「昴。あの子は、翠や志麻ちゃんの時のようにはいかないよ。だって、ただの一般人だ。 この世界に巻き込むリスク、ちゃんと分かってるの?」 分かっている。 ひよりは、夢があるんだから。 辛い時を乗り越えて、立ち直るあの兄弟を、支えた夢だ。 俺が邪魔するわけにはいかない。 でも、こんな所で大人しく引き下がれるような気持ちでもない。 一礼した俺は、その場を去ろうとする。 「昴、話終わってないけど。」 社長が、態と厳しい言葉を選択していることも分かっていた。 「…っ、分かってるよ! 同じようにひよりに気持ちを返して欲しいなんて思わないし、巻き込むつもりも、無い。 でもあいつを助けたいってこの気持ちは俺のものだから。…好きにさせろ!!」 らしくなく、そう乱暴な口調になった俺は明日の番組スタッフへ説明するため再び急いでテレビ局へと向かった。 あまりに非論理的で、説得力に欠ける言葉だった。 でも、こうやって現に今、全速力で走り回ってることも、1人で戦おうとする彼女を抱きしめたいと思う気持ちも、理屈じゃない。 好きだからって、ただそれだけだ。 「……聞いた?潮音。」 「…焚きつけてどうすんですか。」 「はは…っおかし。 俺の負けだなあ。あんな風に無茶苦茶言って開き直るとは思わなかった。あいつもまだ若いな。」 「……心配ですか。」 「当たり前だろ。俺はいつでも心配だよ。 本当に、うちの事務所の子達はどうしてこうも突っ走るのかね。」 「……真っ直ぐに追い求めたくなる恋を知ったからでしょうね。」 「……お前結構素で恥ずかしいこと言うよね。」
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