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◻︎
「…かえで。_____________。」
抱きしめ合う2人の隣にしゃがみ込んでいた俺は、そのままの態勢で、かえでにこっそりと声をかける。
かえでは、抱きしめられていたひよりの腕から離れ、俺を見つめる。
「…本気?」
「うん。大真面目。」
言葉短く、でも真剣にそう言うと、かえではケラケラと面白そうに声を出す。
「…すばるなら、良いよ。」
「良かった、ありがと。」
俺とかえでの会話が聞こえていないひよりは、目の前の流れを理解していない表情だった。
いざ彼女に言うとなると、らしくなく緊張している自分に気がついて苦笑いが漏れた。
俺は、漸くひよりに視線を合わせる。
だけどその瞬間、こちらを見る透き通ったアイスブルーに、言葉は自然と次いで出た。
「ひより、ごめん。俺、お前が好きなんだ。」
____どうしようもなく。
「、」
気持ちを伝えたら、心はスッと軽くなった。
嗚呼、もういいや。
ひよりに拒まれたってなんだって、これからを生きていくこいつが笑っていられれば良い。
微笑む俺を見て、ひよりは一瞬泣きそうになって、それから何かを決めたように唇をキュ、と結んで立ち上がった。
アイスブルーには、強い意志が宿っていた。
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