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「好きです…っ、穂積さんが、好きです。」
堰を切ったように腕の中で気持ちを言葉にするひよりに、俺は思わず笑う。
「うん。」
「レッドも、あの犯人も…っ、こうやってずっと私達を助けてくれる穂積さんも…
俯くのはやめて瞳を見せてなんて、そんなこと、言われたこと無かったです、嬉しくて、大事にしたくて、好きで…っ」
「……うん、もう分かったから。」
懸命に気持ちを伝えてくれるひよりに嬉しさは募るも、流石に恥ずかしいわ、と呟く。
ひよりはそんな俺を見て花が咲いたように笑う。
2度と、簡単に心なんか晒すかって、そう思っていたのに。
こんな風に全てをまるごと好きだと、笑ってくれる人に出会えると思っていなかった。
俺は抱きしめる腕の力を強めて、ひよりに言う。
「…ひより。社長も言ってたけど、これから俺とのことで噂になって、ひよりが巻き込まれるような、そういう危険が出てくる可能性がある。
俺は、ひよりを記事にされたり面白おかしく扱われるなんてごめんだ。」
「…はい。」
アイスブルーの瞳が不安げに揺れる。
次に何を言われるのだろうかと、怖がっているようにも見えた。
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