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俺はひよりの頬に手を添える。
「…だから。早めに俺と結婚してくれる?」
その桜色の唇にキスを落としてそう言うと、ひよりは真っ赤な顔で口をパクパクさせていた。
スキャンダルだってなんだって、断定が出来ないから記事は変に取り沙汰されるし好奇心を煽る。
だったらもう、こちらから決定打を打ってやりたい。
「けっ、こ…け…!!!!」
急に言語不自由になったひよりに鶏かよと笑うと、からかわないでください、と真っ赤な顔のまま俺を睨む。
「ひよりが良ければ、だけど。」
なんて、変な譲歩を見せる自分は、やっぱりひよりのことになると臆病だ。
でも、ふわりと笑って
「…美味しいご飯、毎日作りますね。
厳しい世界で、荒波に揉まれて帰ってきた穂積さんが、安心できるようなもう一つの世界を私が作りたいです。私も、守りたいです。」
荒波ってなんだよ、と思わず吹き出してしまった。
こいつはやっぱり時々言葉のチョイスがおかしい。
だけどそれさえも、愛しい。
笑顔の彼女に、俺はもう一度キスをした。
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