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後日調べると、知床に夏の間によく降っているのは…確かに雨ではなかった。
雨粒の大きさが霧と霧雨の間くらいのきめ細かい雨は「海霧」と呼ばれるらしい。
海霧は寒流の冷たい海面に暖かく湿った風が吹き込むことで、海から発生する霧だ。
知床のような海沿いでは、夏季に急に気温が高くなった日は、晴れているのに急に霧に襲われるような場面に出くわす。「にわか雨」だと思っていたが、違ったようだ。
−− 私が雨だと思っていたのは、雨ではなかった −−。
町に長く住んでいるのに、無知である自分を恥ずかしく思った。
数年後、上京して初めて本当の雨を知った気がする。
大粒で真っ直ぐに降り、傘がないとびしょ濡れになってしまう。
この雨なら…確かに傘が必要だと感じだ瞬間だった。
仕方なく傘を開き雨をしのぐ度に…「アイダさん」の事を思い出す。
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