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3. アイダさんの秘密
アイダさんと初めて会話をしてから、もっと彼を知りたくなった。
相変わらずアイダさんは毎朝9時に「ノンノ」にコーヒーを飲みにくるが、職業は不明のままだった。
「何のお仕事をされているんですか?」の一言が…なぜか聞けない。
アイダさんは「自分は観光客です。」と答える事で、素性を隠しているような気がしたからだ。
バイトを始めて3年目…高2の夏にある事が起こった。
アイダさんはいつもと変わらず、朝9時に「ノンノ」に現れた。
その日は珍しく快晴で、アイダさんは歩いて来たようだ。
「ヒグマに会った事がありますか?」と叔父さんに質問したり、冗談を言ったり、アイダさんはいつもより機嫌が良さそうだった。
1時間ほどコーヒーを楽しみ、アイダさんは店を出て行く。
数分後、座っていた席にノートがあるのに気づく。どうやらアイダさんが忘れたようだ。
「叔父さん、アイダさんこのノート忘れたみたい。その辺にいると思うから届けてくる!」
急いで店を出ると、遠くにアイダさんが国道脇をフラフラ歩いているのを見つけた。
駆け足でアイダさんを追いかける。
もう直ぐ追いつきそう…声をかけようかと思った時、アイダさんは突然山道に入って行く。
近道なのだろうか?このままついていけば、アイダさんの泊まっている場所がわかるかも…と引き続き後を追う。
1キロ近く歩いたところで、アイダさんは古い小屋の中に入って行く。
悪いとは思ったが、こっそり窓から中を覗く…。
部屋に乱雑に置かれたものを見て、アイダさんが何の仕事をやっているかわかった…。
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