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妖艶な美少女は鋭い目つきで、キャンパスの中からこちらを睨んでいる。
美少女の口は少しだけ開いており、まるで「見ないで…!」とつぶやいているかのようだ。
深い…強い…「怒り」を美少女から感じる。
その理由は、美少女は全裸で首輪を嵌められているから…だけではない。
四つん這いになり、恥部を晒す美少女には手足がない。
正確にいうと、両手首と両足のひざ下がなく、傷を覆うかのように、先端は包帯でぐるぐる巻きにされている。
そのため犬のような体制をとるしかなく、侮辱に耐えながら4足でやっと立っている。
胸の膨らみや骨盤の発達状況から判断すると、美少女は私よりも年下、多分、中学生くらい。
絵の全貌を見て、まずは「こんな絵を描いてもいいの?」と思った。
ただのヌードではない、未成年の裸…しかも、むごい虐待を受けている。
アイダさんが職業を言わない理由がわかった。
おそらくこんな絵を描いていると知ったら、叔父はアイダさんを軽蔑するだろう。
だけど…目が慣れてくると、切断された手足より、怒りを訴える美少女の表情に魅了されている自分に気づく。
一枚の絵がこんなに心を揺さぶるなんて…。
絵画鑑賞が趣味…という人の気持ちが初めて理解できた。
この絵と向き合っていると、違う次元に引っ張られるような感覚になる。
人間の汚い本質と美しい生命力を同時に表現している…。
はじめは目を反らしたくなるような光景と思うが、徐々に地獄の中で勇敢に生きる少女を応援したくなる…。
いつの間にか、私はアイダさんの作品のファンになってしまったようだ。
他の作品も見ようかと思ったが、アイダさんの意志を尊重して、来年まで待つ事にした。
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