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平太は酷く沈みきった声で、ポツポツととんでもないことを告げてきた。若干頭がショートした僕はフリーズしてしまった。唐突の告白だけど、相手が誰か僕は知ってる。同じ学部の美香ちゃんだ。
今度は平太がなにかを誤魔化すみたいに明るい声を上げる。
『ふはは、ラストチャンス! なんつって!』
「……そぅ」
『うん。明日告白して、ダメならすっぱり!』
「すっぱり……」
『うんうん! すっぱり!』
諦めて……クレル?
頭の中の言葉とは真逆のことを言った。
「そっか、頑張って……」
『ありがとう。ごめんね? こんな時間に……なんかさ、拓にビシッと宣言して、腹くくりたかったってかさ……』
「……ビシッと?」
『そう、ビシィィィィッとね!』
「…………」
『たく?』
「うん、了解。明日、ビシッと頑張って!」
『おぅ! まかせとけっ!』
「……じゃぁ、もう、寝ていいですか?」
『あぁ……ふひゃひゃひゃ! ごめんごめんっ! おやすみっ!』
「おやすみなさい」
『明日、八時に家の前だからね!』
「うん」
『ビデオカメラ忘れんなよ?』
「はいはい」
『UNOもね!』
「うるせーよ! 寝ろよ!」
『あはははは、拓ちゃん拓ちゃん、最後におやすみ言って』
「お! や! す! み!」
『きゃはははは、おやすみぃ~』
やっとプツッと通話が切れた。肘を突き、上体を起こしていた姿勢をベッドへ戻す。ディスプレイの点灯がきれ、暗くなった携帯を握ったまま、胸の上へ落とし目を瞑る。
ついに告白かぁ……。
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