幼馴染はお天気雨

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幼馴染はお天気雨

 幼馴染っていうのは、厄介だ。  赤ん坊のころから毎日毎日顔を突き合わせて、ずっと一緒にいる。言ったら兄弟みたいなものだけど、年の離れた兄弟なら同じ家で暮らしていたとしても、双子でもない限り、年齢の差が出てきて、住む世界はおのずと違ってくるものだ。  でも、幼馴染はそうはいかない。  最低でも高校まではずっと一緒。  離れようと思えば離れることもできる。離れようと思えばの話。  僕は思わなかった。  だから、大学生の今もこうして変わらず隣り合わせを続けている。  仲西平太(なかにしへいた)のことは誰よりもよくわかってる。その自負はある。きっと彼の家族よりも僕の方が詳しい。  例えば、体を洗う順番。彼は毎度右腕から洗う。  靴下は左から履く。  指パッチンが下手くそなこと。因みにウインクも下手くそ。  プールの塩素に弱く、すぐに充血しちゃうからプールではゴーグルが必須なこと。  鼻血もよく出す。  リズム感があまりないこと。  お気に入りの漫画の27巻目で絶対に泣いちゃうこと。  読書感想文に使う本は毎回、忠犬ハチ公。  あんまんより肉まん派。  猫より犬派。  目玉焼きにかけるのはケチャップ。  苦手なものはあまりない。  九九の七の段。  夕焼け。  図書室。  たった三つだけ。  好きなものはいっぱいある。  太陽。  水風船。  輪切りレモンが入った氷アイス。  回転花火。  ドッジボール。中学に入ってからはバスケットボール。  四葉のクローバーよりもオンブバッタ。  イベントとプレゼント。  指切り。  好みのタイプは明るい茶色のセミロング。ストレート。
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