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おねえさんが私を睨んで言った。
と、キッドがレルバ王子の後ろから出てきた。
「おい、それは違う!世間知らず馬鹿は、その…と、友達だ!僕を誑かしたんじゃない!」
お、おぉ…!
あのひねくれまくって幼稚でお子様なキッドが…!
うーむ、人は学び成長するものですなあ。
「では、剣のお稽古をなさってください」
「そ、それは断る!」
キッドが再び隠れる。
と、サイロス王子がため息をつき、キッドを睨んだ。
「これだからお前はガキなんだ。まだ分からないのか?もしそうなら、おまえはガキはガキでも馬鹿なガキだぞ」
「うぐ」
わお辛辣。
「兄様、キッドも頑張ってるんだ、それくらいにしてやってくださいよ」
レルバ王子がフォローする。
「レルバ、おまえ出来損ないの弟ばかり構ってないで、父上の期待に応えろ。もしも私に何かあったとき、おまえがしっかりしていなければならないのだ」
「僕もいます!」
「キッド、お前、自分が国王になれると思うか?剣ができても勉学はどうだ?この前のテストの結果をもう忘れたのか?」
「それは」
キッドが言葉に詰まると、サイロス王子はもう一度深くため息をついて背を向け、従者を従えて歩き出した。
レルバ王子も、「ごめんなキッド、またあとで」と言い、
「待てよ兄貴!」
とサイロス王子を追いかけて行った。
王子二人が人込みの中に完全に消えて見えなくなってから、キッドが口を開いた。
「あっっのクソ兄貴!馬鹿兄上!いっつもいっつも偉そうだし!なあどう思う!?世間知らず馬鹿、どう思う!?」
「うーん…言葉はキツいけど、意外にも正論を言っているような…」
国王になるには勉強も必要だとか、剣の稽古サボるなとか。
「な…!お前、あんな奴の味方なのか!?」
「いや別に味方ってわけじゃないけど」
サイロス王子サイドってわけでもないが、キッドにも明らかに非があるもんね。
「それでは、第二試合を始めます!八年、ファロミア・リグ・ドゴルファ対、ルードス・ルーア・ライグンツイ!」
あ、ルードスさんだ。
二人が結界に入る。
「ドゴルファは去年の準優勝者!力強い攻めが得意な攻撃型だ!またお父上は王宮に仕えている騎士で、幼少の頃から剣術を習っていたそうだ!」
「ライグンツイはドゴルファと同じく、王宮の騎士を父にもつ剣士のタマゴです!大人顔負けの剣術は堅固な守りと柔軟な攻撃を兼ね備え、教師をも唸らせます!」
去年の準優勝者…!
ルードスさんなら、きっと勝てる!
「ようい…はじめっ!」
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