学園祭

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いよいよ始まった。 ドゴルファがじりじりと間合いを詰める。  ダンッ 強く地面を蹴って跳んだドゴルファが、数瞬のうちにルードスさんに迫る。  キィン ドゴルファの剣を、ルードスさんが受け流した。 パワーのある剣は、受け止めるより受け流した方がいい。 分かっていてもとっさに出来ないんだよね。 さすがルードスさんだ。 ドゴルファが続けて剣を振る。 今まで誰の剣を受けても一ミリも押されなかったルードスさんの剣が、ギリ、と音をたてる。 やはりドゴルファはパワー型のようだ。 うち返せず、一歩下がる。 その隙にとドゴルファが振った剣を下方に受け流す。 受け流された剣は折り返して再度ルードスさんに斬りかかり、それを外側から押し返すように打ち返した。 右足を出し、左ななめ方向からドゴルファに斬りかかるが、はじき返される。 「両者一歩も引きません!」 観客の間の熱気が高まる。 と、ルードスさんがドゴルファに迫った。 ドゴルファが迎えうつべく剣を正面に構える。 ルードスさんは剣を振り上げ、  ドゴッ! ドゴルファの横腹を蹴った。 「く!?」 「おっと、ライグンツイのフェイントだ!」 ふいを突かれたドゴルファに、二発三発と雨のように次々と突きが襲い掛かり、捌ききれず受ける。 そして、威力を高めたとどめの一突きでドゴルファは倒れた。 「ドゴルファ、気絶だ!戦闘不能!」 「おぉおおぉ!」 すごい、ドゴルファに勝った! 「なんと、一年生が去年の優勝者であるドゴルファを破りました!ルードス・ルーア・ライグンツイの勝利です!」 ナレトーニ先生がルードスさんの勝利を宣言し、会場がわっとわいた。 目を覚まして起き上がったドゴルファとルードスさんが握手を交わす。 「見事だった、俺の負けだ。また手合わせを頼む」 「こちらこそ、いい試合だった」 ルードスさんが勝ったということは、準決勝ではキッドとルードスさんが戦うことのなるのか。 哀れキッド…。 「第三試合の出場者は、四年、トゥーリン・ロイ・レナバーブと、一年、ラウザン・ロイ・ワヌルタラです!」 おお、頑張れラウザン! 「レナバーブは一昨年、剣術部門で準優勝しており、今年は優勝を狙っているそうだ」 「対するワヌルタラくんは、今年初出場!さあ、どんな戦いを見せてくれるのでしょうか!?」 じゅ、準優勝? 大丈夫かな、ラウザン。 アイツ、特別強いわけでもないのに相手が同級生のやる気ないヤツばっかで、運よく出場決まっちゃったんだよね。 「それでは―――はじめ!」 始めの合図と同時に、レナバーブが地面をダンと蹴ってラウザンに迫る。 ちなみに、予選も本選も、HPがゼロになる攻撃を受けても一度だけMPを全消費してHPを1だけ残すという特殊な結界が張られているので、追撃されなければ死ぬことはない。 ラウザンは剣を構え、レナバーブの流れるように繰り出される攻撃をなんとか受け止める。 「は、速い速い!さすがレナバーブ、圧倒しています!」 と、レナバーブが他の攻撃より速い突きを一瞬の隙に繰り出してきた。 「ぐはっ!」 「おっと、突きが命中しました!ワヌルタラくんのMPが0になったので、結界の効果ですね!レナバーブくんの勝利です!」 あちゃー、負けちゃったかぁ。 治療してもらったラウザンが帰ってきた。 「あはは、一瞬で負けちゃったー」 「いやいや、カッコよかったよ。お疲れ様。」 「え、ほんと!?じゃあ結婚してくれる!?」 「断る」 前にお姫様求婚早くねって思ったけど、コイツも大概だわ。
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