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「続いて第五試合!準決勝となります!」
「一年、キッド・クレイ・アートイス!対するは、同じく一年、ルードス・ルーア・ライグンツイ!」
キッド対ルードスさん。
これはぶっちゃけ、もう勝負が見えているような…。
いやいや、もしかしたらキッドにも秘策とか隠れた才能とかがあったりなかったり…。
二人が結界の中に入る。
「それでは両者、構え!」
キッドがごくりと唾を飲み込む。
「はじめ!」
合図。
二人は同時に動いた。
キィン!
剣と剣がぶつかる。
と思えば、キッドが一歩さがり、ルードスさんが追って剣を振り、今度はルードスさんが横に足を運び向きを変える。
キッドも応じて一歩前へ、横一閃の剣をルードスさんはしゃがんで避けた。
再度両者が後ろへ跳び、またぶつかる。
突きなどを混ぜ合わせた隙のないキッドの剣を、ルードスさんはうまく受け流して攻撃も挟む。
「足元が留守だぞ」
キッドはルードスさんの足払いを後ろに跳んで避け、一歩前に出ると同時に突き。
ルードスさんは横に移動して回避した。
そこを狙っての角度を変えた突きを剣を合わせて方向を横へ曲げ、そのまま剣を振るルードスさん。
「一年生とは思えないレベルの試合です!」
二人とも頑張れ!
キッドはのけ反って避け、追撃はバク転で回避。
着地と同時に剣を正面に構える。
ルードスさんは死角から剣を振るも、気付いていたキッドはしゃがんで避け、そこから後ろを振り向きながらななめ上にかけて剣を斬り上げる。
が、ルードスさんは外側に力を流して避け一歩前へ、キッドも応じて退がった。
めまぐるしく変化する間合い。
と、それをルードスさんがぐっと一気に詰めた。
そして、ローキック。
反応が遅れ、わずかにバランスを崩したキッドに上から剣が振り下ろされる。
が、何とか剣で受け止めたキッド。
相手の剣を弾くようにして間合いをとった。
「仕留めたかと思ったが」
「僕を甘く見るなよ!」
そう言って二人が笑う。
それが合図となって、二人はまた剣を握りなおして地を蹴った。
攻撃と防御をくり返す。
相手の隙を見つければ鋭く攻め、相手が攻勢にうつれば防御に転じて隙を伺う。
間合いをとっては詰めて、跳んではしゃがみ、避けては剣を振る。
どちらも、一歩も引かない。
本人の言うとおり、キッドを甘く見てはいけなかったかもな。
私はルードスさんの動きはもちろん、不本意だが、キッドの動きにも見入っていた。
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