212人が本棚に入れています
本棚に追加
私は家族が見ているとあって本選の一試合目に余裕で勝利。
で、準決勝も勝つぞ!と意気込み試合を始めたのだが、途中で、これ勝つと大人から声かかるんじゃね?ということに気付き、それは困るな、面倒だなということで、相手の大技を適当に防御して降参した。
竜三人が出る武術部門の試合も終わった。
優勝者はダンク兄様。
結界壊すなよ、竜の次元の戦いするなよ、という私の無言の頼みに応じてくれ、カイリュウは本選一戦目で、ケイトとリヒトはそれぞれ準決勝で負けてくれた。
竜三人が竜同士で戦うことにならなくてよかった。
弓術部門・槍術部門の本選も終わった。
そして、残るは。
「ただいまより、魔物使い部門の本選を開始します!」
そう、魔物使い部門である。
私は第一試合目の選手として結界の中に入った。
「七年、ナコモ・サーシバ!召喚獣はE+ランクのフォレストウルフ、ウルとロウです!」
召喚獣は、自分が制御できる強さまでなので、多くがF+、強いとE+程度だ。
「一年、ソルレーナ・フォン・ナトゥア!多様な召喚獣を使役する!」
「それでは試合を始めたいと思います!用意…はじめ!」
サーシバが動く。
「森林を駆ける守護者よ、いでよ!フォレストウルフ!」
「「ガルルルッ」」
二体の狼型の魔物が現れた。
よぉし、こっちも!
私はするのは、ぶっちゃけ召喚ではない。
でも、この魔物使い部門における「魔物」は、使い魔でも召喚獣でもいい。
なので、反則ではない。
秘策を今、見せようではないか!
「出でよ、我が僕たち!」
私は大仰な動きで手を前に突き出し、火魔法・モルフレアを発動する。
バチバチッ
強い光で見ている人の目を眩ませ、その隙に魔納袋に手を入れ、彼女たちの手を引く。
光がおさまる。
「おっと、ソルレーナの召喚獣か!?」
白い兎耳と黒い猫耳。
「主さまのお役に立てるね、ネリィ!」
「うん、頑張ろうねマリィ」
二人の少女――マリィとネリィは、そう言って二匹の狼を見た。
昨日、キミラに頼んで二人を連れてきてもらい、来てくれたときに大会の試合に私の使い魔として出てもらえないかと聞くと「もちろんいいよ、主さま!」との返事が返ってきたので魔納袋に入ってもらっていたのだ。
生物は入らないのだが、マリィとネリィはゴーレム。つまり生物ではないというカウントなので入る。
「マリィ、ネリィ、お願い!」
「りょーかいだよ、主さま!いくよ、ネリィ!」
「うん、マリィ」
マリィとネリィはD-ランク。
フォレストウルフより一ランク高く、思念魔法という強みがある。
「「思念魔法、思念獣!」」
三体のウサギの思念獣が現れる。
そうだ、鑑定してみよう。
〈ウサちゃん Lv.―― 〉
種族 思念体
HP 300/300
MP 0/0
攻 300 防 100 速 120 持 180
ぶっ。ウサちゃんて、名前そのままなんかい。
ふむふむ、HPは使用した魔力量、その他の基本ステータスは使用魔力の二倍を割り振ることができるようだ。
「フ、何かと思えば思念獣だと?笑わせる!行け、ウル、ロウ!」
「「グルルル!」」
二体の狼がウサちゃんに迫る。
「ウサァ!」
ウサギが横に跳び、手前の狼の横腹をバコ!と蹴った。
…って、待てよ。
今までなにげにスルーしてたけど、ウサギってウサウサ鳴かないよな?
「ウサァ!」
うぇええぇ何で何で!?
この間、トラはガォーとか何とか普通に吼えてたよね!?
ウサギ限定!?
ウサギ限定なのか!?
最初のコメントを投稿しよう!