学園祭

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狼とウサギがにらみ合う。 「うーん、もうちょっと増やそっか、ネリィ」 「そうしよう、マリィ!」 「「思念魔法、思念獣(アニマル)!」」 「「ガォオオッ!」」 二頭の虎が現れた。 「すぐ消える!やれ、ウル、ロウ!」 狼の一匹がウサギに噛みつき、もう一匹が爪をたてた。 「よし、いいぞ!…ん?何故消えない?」 トラが狼を前足で殴る。 「キャイン!」 「ウル!」 サーシバさんが慌てる。 「いっけぇ、トラさん!」 「頑張れ、ウサちゃん」 「「ガォオオォ!」」 「「ウサァアアァ!」」 トラとウサギに挟み撃ちにされ、二匹の狼がどさ、と倒れた。 「ウル、ロウ!」 よっしゃ勝った! マリィとネリィが思念獣を吸収する。 「ナコモ・サーシバの召喚獣、戦闘不能!よって勝者、ソルレーナ!」 拍手と歓声。 「主さまのお役にたったかな?」 「うん、すごく。ありがとう、二人とも」 「わあ!やったね、ネリィ!」 「うん、マリィ」 再びモルフレアを発動し、魔納袋に入ってもらった。 私は目立つとイヤだなー、という考えから、準決勝で敗北。 いやー、意外に楽しかったな、総合武闘大会。 「惜しかったっすね」 「ん、まーね」 次は、障害突破競争か。 出場者は、生徒会、花鳥風月、それと先生の推薦を受けた生徒。 コースは実際に走るまで秘密だ。 王族や三位領主以上の上位貴族には、特別な席が用意されている。 まあまとめると、いやまとまってないけど、要するに私が嘆いているのは、私が出場しないといけないということで…。 はぁ。 大会終了後から約一時間後、私はため息をつきながらスタート地点にならんだ。 「学園伝統の、障害突破競争!第一関門から第五関門までの難関が生徒たちの行く手を阻みます!第五関門は、毎年国王が決めることになっていますが、今年は次期国王と首都で噂される第一王子のサイロス王子がお決めになったということです!さあ、どんな難関を、王子は用意されたのでしょうか!?体力だけでなく、知恵や発想力も必要となる競争です!」 数十メートル先の、第一関門に続く壁を見る。 「それでは、用意…はじめ!」 生徒たちが一斉に走り出す。 開始のその瞬間から、私と、まわりの生徒との差が開いていく。 数秒後、私は生徒の波から一人取り残されていた。 「花鳥風月の月、ソルレーナ嬢が遅れています!やはり運動は苦手なのでしょうか!?」 あーもーうるさい! 運動は苦手なんだってば! 苦手というよりもはや壊滅的なんだってば! 息を切らして、やっと壁にたどり着いた。 みんな、まだ体力に大分余裕があるっぽい。 えー、魔法使っていいんだったよね? 私は魔法使ったら反則くさいから控えようと思ってたけど、使っちゃダメかな? いや、我慢我慢。 つーかこの岩壁、どうやって登るんだよ。 みんなはどうしてるんだろうとみると、岩に手足をかけて普通に登っている。 あ、ロッククライミング的な? あーなるほどねーってイヤ無理だから! 「ふんぬぬぬ…!」 えぇい根性だ!
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