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これで会話が途切れたかと思いきや、兄は溜め息交じりで呟いた。
「いや、終わらせないから」
「え、何で? 今折角いい突っ込みで終わったじゃん!」
「俺のドキドキを返してくれよ」
「そ、そっちこそ! お兄ちゃんがあんなときめくことを言うから、不覚にも、ドキドキしちゃったじゃん・・・」
そう言って視線をそらす妹に、兄も直視できなくなる。
「・・・お前、意外とピュアなんだな」
「なッ・・・! お、お兄ちゃんこそ、普段は見せないけどとても優しいんだね」
「・・・」
「・・・」
二人して顔を真っ赤にし、同時に黙り込んだ。 気まずさを打ち消すよう、兄は大きな音を立て傘を開く。
「・・・帰るか」
「・・・うん。 その、お兄ちゃんの傘に、入ってもいいの?」
「当たり前だろ? そのつもりで外へ出たんだから」
「・・・ありがとう」
そう言って、近付いた妹。 開いた隙間を見ながら、兄は顔を赤くし表情を歪める。
「どうしてそんなギリギリのところにいるんだよ、もっとこっちへ来い。 濡れちまったら一緒に入る意味がないだろ」
「ッ、うん!」
こうして兄妹の禁断の愛が、育まれていくことになるのだった。
-TRUE END-
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