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都市伝説
「ねぇねぇ、最近行方不明者が増えてきてるでしょ?」
「それがどうしたの?」
「あのね、行方不明になった人はね、本当は死んでるかもしれないんだって」
「なんでそんなこと言い切れるの?」
「何でも、体中から花が咲いて死んじゃう病気にかかったとかで、
政府が世間を混乱させないように、情報を隠してるんだって」
「ふーん、でもそんなのどうせ都市伝説でしょ?」
「まぁ、確かにそうだけどさ」
「やっぱり、あんたも好きだよね」
「えへへ、だって面白んだもん」
「UFOとかUMAの何が面白んだか
あ、そういえばさ……」
高校生らしき女子二人が前を通り過ぎる
最近噂の都市伝説の話をしている
きっと次の話題の後にはすでに何を話していたのか覚えていないほど、どうでもいいような
信じていないことが前提で話されているようだった
タクシーが目の前に止まる
海外旅行に行くような大きな荷物をトランクに入れ、ドアを閉める
「この住所まで行ってくれ」
住所の書いたメモを渡すと運転手は怪訝な顔をした
「お客さん、これ相当な山奥ですよ?
本当にこの住所で……」
バックミラー越しに睨みつけると、運転手は黙って車を発車させる
「あぁ、お客さん
うち全車両禁煙なんです」
「そうか、それはすまなかったな」
出しかけた煙草をポケットになおし、窓の外を眺める
夕闇に染まっていく田舎道
タクシーはどんどん山へ向かう
「都市伝説……か」
「お客さん、何か言いましたか?」
「いいや、何も」
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