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「全く、お前と長話をしたせいでこんなに遅くなったじゃないか」
「いいじゃねぇか、久々にあったんだから積もる話の一つや二つ
まぁ、お前のとこの別嬪さんが怒ってたら俺も一緒に謝ってやるよ」
「広尾の前ではあまりそういうことは言うなよ
多分、余計に怒る」
「へいへい」
この軽い男は伊藤 栄太
週刊誌の記者をやっているが、オカルト方面にも詳しい
独特の情報網で、よく情報を提供してくれる
広尾に頼まれた煙草を買いに、コンビニに寄った時に偶然会った
最近はそれぞれの事情でなかなか会えなかったので、互いの近況報告で思いの外時間をくってしまった
花紋病のことで進展がお互いあり、流石にその場で話すわけには行かず、一旦、館に帰ることにした
車内で、広尾のことを話すと、
「羨ましい」だの何だのうるさいが、いつものことなので適当に流す
車をガレージに入れ、勝手口から入って、キッチンに食料品を置き、広尾に煙草を渡そうと玄関ホールに入る
「リリア、すまない…って、広尾?!
どうしたんだ?」
扉を開けてすぐに、異常な光景が目に飛び込んできた
リリアの膝に縋り、苦しそうな広尾と、その頭を落ち着かせるように優しくなでるリリアの姿
「あぁ、悟様おかえりなさいませ
お帰りになられてすぐで申し訳ないのですが、広尾様のこの症状について、何かわかることはございませんか?
悟様が出発されてすぐに、突然広尾様が異変を申されたのです
痣が痛んで、過換気症候群を引き起こされているようです」
「何だその症状は?聞いたことがない
おい、広尾大丈夫か?」
広尾の背中を擦りながら、尋ねる
「や、つ……ノ瀬?」
呼びかけに応じるように、ゆっくり顔を上げる
「あぁ、俺だ
大丈夫か?一体何が……ッッ?!
おい、広尾?!」
突然、広尾が抱きついてくる
その勢いのせいで、その場に尻餅をついてしまう
「おいおい、昼間っからお熱いことで」
「伊藤、そんな呑気なことを言ってる場合じゃない
非常事態だ、手伝ってくれ
とりあえず、部屋まで連れて行く」
「お、おう」
流石に真剣な場面だと気づいた伊藤と協力し、広尾をなんとか部屋に連れて行く
「伊藤、お前はリリアに詳しい状況をもう一度聞いておいてくれ
俺は広尾の状態が良くなったらそっちに行く」
「わかった」
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