情報屋

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「広尾、本当に大丈夫か? まだ部屋で休んでいたほうが……」 「大丈夫だと言っているだろう そこまで過度に心配しなくていい」 憔悴した表情で言われてもあまり説得力はないが、あまりしつこく言うと怒るので仕方なく連れてきた 「すまない、二人とも 随分待たせてしまったな」 「悟様、広尾様の症状について伊藤様が何やら心当たりがあるそうです」 「何?!本当か、伊藤?」 「あぁ、確か前にほんの数回同じ状況になった奴がいたんだ まぁ、それも重要だがまずは自己紹介と以降じゃないか こんにちは、広尾さん 俺は伊藤 栄太、週刊誌の記者をやってるが、これでも結構怪異とかそういうオカルト方面に詳しいんだ ここにはよく情報提供しに来ている これからよろしくな」 「広尾 綾だ よろしく」 「綾………? 広尾さんもしかして元警官か?」 「何でそれを………いや、週刊誌の記者なら知っているか 言っておくがあれは冤罪だ」 「何の話だ?」 「パワハラ疑惑だよ 部下にパワハラしたとかなんとかで、辞めたって専ら噂だよ」 「あれは、冤罪だ 何度も言わせるな」 「広尾さんのパワハラ疑惑は置いといて、あれって本当なの? 暴力団と繋がってた警察官がいるって噂 名前はなんだっけな、「森宮」だっけ?」 「森宮」という名前が出た瞬間、空気が凍る 「違う」 先程のパワハラ疑惑を否定する声とは明らかに違う 怒りを必死に抑えている様子が声から伝わる 伊藤を睨む視線は、怒りに満ちているが、そんなことはお構いなしに伊藤は続ける 「本当に違うのかい? バレて失踪したとかいう情報もあるけど まぁ、警察側が圧力かけてきて記事にはできてないけど 本当のところはどうなの?」 「おい、伊藤やめておけ」 「いいじゃねぇか、どうせ記事にはできねぇんだ 真相だけ聞いても罰は当たらねぇだろ」 「違うと言ってるだろ!! 森宮さんは、そんなことしていない していたのはもっと上の奴らだ 森宮さんはそれの調査に行って…それで、それで…!! とにかく、違う!! 噂は全部デマだ、信じるなんでバカげてる!」 「ふーん、バカげてるねぇ もしかして広尾さん、森宮と仲が良かったの? だから、庇ってるとか?」 「貴…様……ふざけるのもいい加減にしろ!!」 「落ち着け、広尾!! 伊藤も、なんでそうやって煽るんだ?」 殴りかかろうとする広尾を羽交い締めにする 「離せ、八ノ瀬! こいつは…、こいつは、一発殴らないと気がすまない!!」 「だから、落ち着けと言ってるだろ!」 「これは、パワハラ疑惑もあながち間違ってはなさそうだな」 「伊藤!! 一体何の恨みがあってそこまで言うんだ」 「恨み? 違う違う、仕事精神だよ 噂はとことん調べ上げなきゃ気がすまない質でね」 「何が仕事だ!! そうやって根も葉もない噂を面白おかしく書き立てて、人の生活を壊すことのどこが仕事なんだ!!」 「お二人とも、落ち着いてください 今、そのお話よりも重要なことがある事をお忘れでしょうか?」 沈黙していたリリアがピシャリと言い放った 広尾も伊藤も、驚いたようにリリアの方を向いたが、すぐに本来の目的を思い出したようで伊藤が口を開く 「そうだな、リリアちゃんの言う通りだな あぁでも、広尾さんは俺の話なんか聞きたくないって顔してるけど、どうするの?」 「リリア、こいつの情報は信用できるのか?」 伊藤から目を離さずに聞く 「はい、何度も情報を頂いていますが、間違っていたことはありません」 「そうか……」 「そのそうかは、俺の話を聞くってことかな?」 「そうだ 俺は、この病気について絶対に調べる必要があるんだ さっきの言葉を許したわけじゃない 勘違いするなよ」 「はいはい さて、広尾さんの気が変わらないうちに本題に入りますか」
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