疑念

1/2
前へ
/86ページ
次へ

疑念

廃校からの帰りの車内は、重苦しい雰囲気の包まれていた どちらも口を開こうとしない それだけ、あの紙ー 少年の日記の一部 ーに書いてあったことは衝撃的だった 『 月  日 からだがお花につつまれたおじさんがうちにきました おじさんは ぼくにママがむかえにきてくれるほうほうを おしえてくれました おじさんは そのためにおじさんの力をすこし わけてくれました それから 学校にいるほうが むかえにきてくれるといってくれました たくさん人にあえるようになった だけど どの人も僕のママじゃない じゃまな人は おじさんにもらった力でころしました ママはいつになったらむかえにきてくれるのかな』 (まさか、花紋病を発症させる怪異を意図的に作り出せる怪異がいるとは…前代未聞だ) ふと広尾の方を見る コートの袖を握りしめ、不安気とも、恐怖とも、困惑とも取れる複雑な表情をしていた 広尾が、コートを握る時は決まってこの表情だ 何かしらの強い不安を感じている時も同じ仕草をする 恐らく、このコートに特別な思い出があり、広尾に取っての精神安定剤の役割を果たしているのだろう
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加