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疑念
廃校からの帰りの車内は、重苦しい雰囲気の包まれていた
どちらも口を開こうとしない
それだけ、あの紙ー 少年の日記の一部 ーに書いてあったことは衝撃的だった
『 月 日
からだがお花につつまれたおじさんがうちにきました
おじさんは ぼくにママがむかえにきてくれるほうほうを おしえてくれました
おじさんは そのためにおじさんの力をすこし わけてくれました
それから 学校にいるほうが むかえにきてくれるといってくれました
たくさん人にあえるようになった
だけど どの人も僕のママじゃない
じゃまな人は おじさんにもらった力でころしました
ママはいつになったらむかえにきてくれるのかな』
(まさか、花紋病を発症させる怪異を意図的に作り出せる怪異がいるとは…前代未聞だ)
ふと広尾の方を見る
コートの袖を握りしめ、不安気とも、恐怖とも、困惑とも取れる複雑な表情をしていた
広尾が、コートを握る時は決まってこの表情だ
何かしらの強い不安を感じている時も同じ仕草をする
恐らく、このコートに特別な思い出があり、広尾に取っての精神安定剤の役割を果たしているのだろう
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