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歩けない広尾を抱え、車まで戻る
「八ノ瀬…俺も、あいつらみたいに……?」
上目遣いで、不安げに問いかけてくる
「いや、それは大丈夫だ
まだ、お前だけが影響を受けただけなら、この状態ならまだ助かる」
上気した顔に潤んだ瞳、荒い呼吸
首筋や手の甲にポツポツと咲くイヌサフラン
間違いない
「花紋病が進行すると起こる現象だ
動物の発情期に似た症状と、肌が露出している部分に花が咲き始める
だが、本来は同じ痣の影響しか受けないはずなんだが……」
「でも…、お前は受けてない、じゃないか
なんでだよ‥?」
「わからない…だが、きっと対処の方法は一緒のはずだ
広尾、少し我慢してくれ」
「我慢って、何を……ヒャァッッ?!」
突然、首筋を噛まれる
いや、正確には首筋に咲いたイヌサフランを噛み千切られる
「ちょ、八ノ瀬、ヒッ、ンやめ」
プチプチと花が毟られる音が聞こえる
そのたびに、出したくもない声が勝手に出る
「ハァ……ハァ……終わった?」
「首に咲いていた分はな
後は、手の甲の方だ」
「ちょ、ちょっと待て!!
本当にこの方法じゃないとだめなのか?
他に何か、方法は?」
「すまないが、ない
だから言っただろ?我慢してくれと
手の甲の方は首よりはマシだとは思う」
「あぁ、もう!!
わかったよ、さっさとしろ!」
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