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変化
「二人とも、ご無事でしたか!!
あぁ、良かった
お二人の危機を察知しながらも、
この場から動けない自分を、これ程恨めしく思ったことはありません」
「心配をかけてすまなかったな
それよりリリア、聞きたいことがあるんだ
「なんでございましょう?」
「それが…」
「八ノ瀬、さっき言っていた犯罪記事のスクラップとやらはどこにある」
突然、話を遮られ一瞬戸惑う
いつもなら、花紋病に関することは真っ先に食いつくはずなのに
まるで避けているようだ
見た感じの様子はいつも通りなのだが、それが違和感を増長させた
「なんだ?
手分けして調査した方が早いから聞いてるだけだ」
「そ、そうか
それなら二階の書庫の、手前側の本棚の一番左の棚だ
一年前の事件なら真ん中の段あたりにあるだろう」
「わかった
お前の方でも何かわかったら後で教えろ」
さっさと二階に上がっていく
「広尾!」
「なんだ?」
呼び止めてから後悔した
なんと声をかけようか?
「その……あれだ、無理はするなよ
何かあるなら、
その…例えば、調べづらいことがあったり、何か悩んでいることがあれば、
迷わず相談してくれて構わない
もちろん、言いたくなければ強制はしない」
「なんだよ、急に」
「いや…その、だからつまり」
「つまりなんだよ?」
「もっと頼ってほしい
悟様はそう言いたいのでございましょう?」
「あ、あぁ
すまないリリア」
リリアの告げた言葉に、少し怪訝な顔をする広尾
しかし、すぐに鼻で笑い返されてしまった
「急に何を言い出すかと思えば、そんなことかよ
つくづくおかしな奴だな」
「そんなにおかしいか?
こっちはただ心配してるだけで」
「そんな必要ないんじゃないか?
お前はお前の仕事をしてればいい
俺はそれを手伝って、目的を達成する
ただそれだけだろう?」
「だが…こんな仕事だから心配くらいするだろう?
いつ死ぬかもわからない状況で、冷静な判断を欠かれるのはこちらも困る
それに………」
「まぁ、ごもっともな意見だな
まぁいい、気が向いたら頼ってやるさ」
そう言い残して二階へと姿を消した
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