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「きっとこの事件のことを言っていたんだろう
一年前にM山樹海で起きた事件はこれ以外見当たらなかった」
広尾が指し示す週刊誌記事にはこう書かれていた
『M山樹海にてまたも無理心中か
被害者女性の語った事実とは
先日、M山樹海で保護された有名作曲家の梅雨里 聖子さん(24)
彼女は連日一般男性との熱愛報道が、囁かれてきましたが、
突然、一般男性と供に行方不明となっていた所を、
M山樹海のハイキングコースの付近で警察に保護されていました
聖子さんは、無理心中を強いられ逃げ出してきたと話しています
一般男性の自宅から遺書が発見されているようで、
警察は更なる事情聴取を行っているようです』
「この一般男性が、今回の怪異だとして
これを調べさせて何をさせたかったんだ?」
「さぁな
だが、その事件の後にもう一つ興味深い事件があった」
パラパラといくつかページを捲っていくと
先程より大きな週刊誌記事を見せてきた
『有名作曲家梅雨里 聖子さん自殺?!
M山樹海でハイキングに来ていた観光客が、ハイキングコースの外れに、
首を吊っている梅雨里 聖子さんを発見しました
付近や自宅に遺書が見つからないことから、警察は他殺の可能性も含めて捜査を続けるとのこと』
「無関係ではなさそうだな
広尾はこの事件について何か知らないのか?」
「残念だが、俺が警察を辞めたのは二年前だから知らない」
「そうか…
だが、調べて見る価値はあるな
樹海へ向かおう」
「そうだな
それと、お前に方では何がわかった?」
「あぁ、それだが…」
リリアに聞いた内容を伝える
「なるほどな
これからはそういうのにも、気をつけたほうが良さそうだな
稀とはいえ、実際に起きたことだからな」
「あぁ、そうだな」
「だが…なぜ…こんな事をするんだろうな」
「どういう意味だ?」
「人を操って死なせる力を持っているのに、
すぐに殺さず回りくどい真似をする理由がわからない」
「…………怪異のする事は理解できない
いや、理解する必要がない
奴等は人が苦しんだり、怖がったりするのを見て喜ぶ奴等が大半だからな」
「そう……なのか、だとしたら………」
「どうかしたのか?」
「いや……何でもない
さっさと樹海に行こう」
(森宮さん……
あんたも、八ノ瀬の言う大半の中にいるのか?
怪異を作り出したのがあんたなら、
あんたの復讐は,まだ終わってないのか?
だとしたら…きっと狙いは………)
― 俺なんだろうな ―
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