第三のゲーム:ペイントゲーム

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持っていた治療具を適当に机に置くとベッドに座り、目で椅子に座るよう促された。 「で、あんな所で何してたの?」 責め立てるような声色じゃなく、子どもが気になる事を聞いてくるような聞き方に怒られていないとわかってほっとする。 「その…倉庫で調べたい事があって…」 「今更倉庫で?」 「鏡に立て掛けてある油絵何ですけど、もしかしたら意味があるじゃないかと思って」 油絵に視線を動かしまじまじと見つめる。 真っ黒な背景にほぼ白に近い黄緑色で描かれたメロン。それを見て黄久瀬さんは嫌な絵ね、と呟いた。 「仮に意味があるとしても知ってどうするのよ」 「覚えていませんか?クロエたちは無駄な事を言わないんです」 一呼吸置いて私は自分の考えを述べた。 「無駄を嫌う二人が飾りもしない絵を用意すると思いますか?」 目を見開いてぽかんと口を開ける黄久瀬さんは思いもしなかった返答に驚いているようだった。 クロエたちはネコを探す事がゲームを勝ち進む糸口だと暗に示してくれた。何気ない言葉一つひとつに意味を持たせているのだから、この絵にゲームのヒントが…クロエたちの正体を掴める何が秘められているんだ。 早くこの残酷な空間から逃げ出したくて気持ちが浮き足立つ。早く、早く早く早く調べに行かなきゃ。 「落ち着きなさいって。そんな考えを持っていながら行かなかったのは大方赤条に理由を聞かれたくなかったんでしょ」 見透かされて大きく脈打つ。 黄久瀬さんはまた溜息をつくと数秒天を仰いで(おもむろ)に立ち上がった。 「私が赤条の気を逸らしてあげるからその隙に倉庫へ行ける?」 「は、はい!」 思いがけない提案に吃りながらも返事をし、黄久瀬さんは小さく頷いた。 何を話そうかな、と零した黄久瀬さんが少し笑っているようにみえた。
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