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ああ、そうだったのか。
いろんなライバーに声かけてたんだ。
で、振られまくったと。
そりゃそうだよね…
あたしは妙に納得した。
あたしみたいなA帯になれることも稀で、特に目立った特徴もないようなライバーを何でこんな高額の報酬支払ってまで番組に呼んだのか。
他がダメだったからなんだ。なるほどね。
麗奈さんがじっとあたしを見つめているのに気づき、あたしははっとして「えーっとぉ」と人差し指を顎にあてて首を傾げてみせた。
「プリンスのことは、聞いたことはあったキロ、全然知らなかったぁ」
いやほんとはまっったく知らんかったキロ。
そうも言えないわねえさすがに。
麗奈さんは細い指を口元にあて、くすっと笑った。
上品なしぐさは意外と可愛らしい。
「そうなのね。
樹さんはあなたのこと、知ってたみたいだけど」
「えっ?!」
麗奈さんの言葉に驚いて、思わず素の反応で返してしまう。
「ど、どうしてですか?
何で私なんかを?」
「さあ?
自社のサービスを利用してくれている、ある意味顧客だからじゃないかしら」
んなわけあるかい。
あたしはツッコミそうになるのをかろうじて飲み込む。
Poncha!のライバー何千人いると思ってんだい。
そして意味深な光を宿した瞳でみつめる麗奈さんを戸惑って見つめ返した。
ほんの少しの間、あたし達は目を合わせていたけど、麗奈さんがふっと逸らした。
「まあ、お互い利益関係も無視できない立場だし。
1週間、宜しくね」
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