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「ねぇ、父さん。どこまでいくの?」
車の助手席で僕が尋ねるが、父は無言のままハンドルを握っている。
「本当に捨てちゃうの?」
後部座席で楽しげに、はしゃぐ子犬の方を向き、ポツリと呟き、応答のない父の真剣な顔に僕は押し黙った。
サイドガラスは激しい雨粒が容赦なく襲い、不安な気持ちが胸を刺さり苦しくなる。
そんな息のつまる空気のなか、父は山奥に車を止めると、
「動くな」
そう言い残し後部座のトランクを開けると、
先ほど引き殺した女性を抱え山の奥に入っていったのだった。
おわり
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