王宮踏破の巻

1/1
前へ
/4ページ
次へ

王宮踏破の巻

ワシは、勇者ヨネゾウ 今まで諸国で奮迅の活躍をし、ついにここの長から呼ばれたのじゃ。 「ヨネゾウ様は、緊張なされないので」 と、可愛いらしく、可愛いことを申すのは、我が愛しの相棒にして妖術士セシル(ピッチピチの美女じゃ)。 「なーにを緊張することがある、ワシらは客人、大丈夫じゃよ」 「とは言っても。。。」 「それにのう、一言二言、言いたいこともある!」 「それだけはだめですぅー。ここの王様は恐ろしく怖いらしいのですよ」 「ふん!なーにが王様じゃ。ワシには身分など関係ない!」 「あぁーもうダメだあ」 セシルが、膝から崩れ落ちる。 「お主の妖術とワシの力があれば向かうところ敵なしじゃよ」 「私は妖術士なんかじゃ、ないですぅ。。。聖魔法術士ですぅ。。。偉大なる神に捧げた聖なる魔法ですぅ。。。」 なんか喚いておるが、よくわからん。 「さあて明日は、どんな飯が食べれるのか楽しみじゃわい」 ワシは、日が暮れるや否や、素早く寝た。 ーー翌日ーー ワシ、城に、到着。 徒歩で! 「なんじゃあこの西洋かぶれの建物は!」 あまりの豪奢な建物に、驚きを隠せない。 こんな金を持っていて、迎えに馬車すら寄越さないとは。 「よーし!どんなやつか見てやるわい!」 ヅカヅカ、宮殿を進む。 いちいちギギギギギと、もったいぶってゆっくりとあく門に苛立ちを覚える。 宮殿内には、兵士たちが複数いたが関係ない。 「お、おい!」 と止められるが、グングン進む。 「確かに立派な城じゃわ。その城に見合う人物かのう!」 「ふああああ、もうダメだおしまいだ」 と、嘆きながらついてくるセシル。 謁見の間と書かれた文字を見て、足を止める。 ここじゃな。 扉を勢いよく開ける。 玉座には、若い女を侍らした豪奢な服を着た男が座っていた。 キャーといい女は逃げていく。 「な、何者だ!警備のものは!!?」 「ワシはヨネゾウじゃ!呼ばれたのできたぞ!」 そう一喝すると、その男は、狼狽えつつも名乗りをあげる。 「おお前がか、俺は、この国の国王。シャr」 「何だって?」 「だからシャルr」 「よくわからん!全くこの国の名前はよくわからん!」 唖然とする王様。 「なるほどな、世間知らずのじじいというわけか」 なんかボソボソ言っとるなあ。 「まあいい、お前を呼んだのは他でもない。実はな」 「貴様、歳はいくつじゃ!」 「まだ俺が話しているんだが!」 「いくつじゃと聞いておる」 「47だが」 「47?まだまだガキかと思ったが、すっかり大人じゃのう。じゃがワシから見たら、雛と、同じじゃ」 「だからどうした」 「話し方が気にくわないって、いっとんじゃ!」 目を剥く国王。 後ろから慌てて入ってくる執事と兵士たち。 「こいつを誰か取っ捕まえろ!」 さすがに激怒した国王。 ひぃーー!と泣き叫ぶセシル。 宥める執事。 「ここは、目的のため、穏便に。このものは神の加護を受けた勇者なのですぞ」 「にしても本当か?こんなじじいが。まあいい」 「貴様の無礼、今は許す。しかし次はないと思え。無礼があれば、そこの娘の家を取り壊s」 ワシは剣を抜き去り、縦にふる。 剣戟は、宙を飛び、玉座をかちわる。 「おい、そこの娘のなんじゃと?」 執事に飛び付いた王様は、涙ながらに謝っておったそうな。 セシルは、気絶しておった。可哀想にのう。 少し泣き止んだ王様は、ボソボソと要件を語った。 どうやら、邪竜とやらが国の都を荒らしておるようで、この国の姫君を拐って、近くの根城に幽閉しとるらしい。 昔は仲良く暮らしていたともいうが。 とんだ無礼もんがおったようじゃ。 だから助けてほしいということじゃった。 「はじめからそう下手に出とればいいのにのう」 「それどころじゃ」 「なんじゃい」 「い、いえ」 「あとのう、貴様、一言二言、言わせてもらうぞ。迎えにはなにも寄越さない。そもそも民が餓えておるのになにをしとる。そもそも自分で姫を守れ。女を侍らしおって!できなきゃ兵を鍛えい。まず国を守れい!飯はまだかのう。当然ワシは国賓扱いじゃろうな!」 「そんな多い。。。」 そういって国王は、情けなく座り込んだ。 「で、では、ご案内させていただきます」 そう執事が言うのでついていき、しばらく待つと豪華絢爛な食事が、でてきおった。 「こんなの食べてるならば、民に分け与えい!」 この日が、この国の食事感謝の日として歴史に名を刻んだ。 セシルは、夕飯の臭いと、大勢いる宴の声につられ、目を覚ます。 「現金なやつじゃわい。何はともあれこれにて一件落着じゃな!」 はっはっはと、笑い声がこだまする。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加