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テレビでは、大晦日の夜から元旦にかけてこの冬最大の大雪警報が出ていた。 「お出かけの際は、お足下に十分注意して下さいね」 いつも一方的に「分かりましたぁ」なんて呑気にテレビへ独り言を返してしまう程、お気に入りの美人女子アナウンサーの声も今の俺の耳には全く届かない。 だって、気が付いてしまったんだ。 アイツの存在が、一番大切だってこと。 ずっとこの先もアイツが俺の傍で笑っていてくれるのであれば、大雪だって何だって構わない。今すぐ何処へだって出掛けてやる。 空を見上げれば今にも雪が降りそうな赤暗いグレー色。 まるで様々な想いが交錯した今の俺の心の様だ。 「あ、この空……間違いなく降るな」 自室のベランダへスエット姿で出ると、全身を突き刺さす凍てつくような風が俺を通り過ぎていく。いつの間にか距離が遠くなってしまっていた大切なアイツの残存を、隣りの家のアイツの部屋を眺めながら無意識に探していたのだった。 「電気、ついてる」 あいたい。 会いたい。 逢いたい。 今更、“キセキ”が起きるなんて思っていない。マンガや小説ではないんだから。 だけどスマートフォンをギュッと握り締めた俺は、ただただひたすら“キセキ”を願わずにはいられなかったのだ。
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