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あの娘はいつまでここにいるのです? 僕の問いかけに、先生は、枯れるまでだよ。そう答えた。相変わらず先生の口元は緩み、原稿を滑る白い手はまるで躍っているようだった。
あの娘は何者なのです? 僕は少しばかりの嫌悪を含めて先生の背中に問いかけた。ペン先が動きを止め、それに合わせるように先生がこちらを向いた。
お前はあの娘が嫌いなのかい? 僕は首を横に振る。好きでも嫌いでもありません。そんな感情が湧くほど、あの娘に興味などありません。僕はただ知りたいのです。あの娘が、先生のお傍にいる意味を……。
先生は小さく息を吐き、あの日のように僕の肩をぽんとひとつ弾いた後、意味なんて何もないよ。強いて言うなら、僕があの娘を求めている。それに尽きるだろうね。そう言った。
僕はあの娘を好きだとも嫌いだとも思わなかった。けれど、ただただ妬ましかった。先生の寵愛を一身に受けているあの娘が……。
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