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お前は僕に手折られないかわりに、枯れることがないね。先生は、今日も原稿用紙にペンを滑らせる。滑らかに、そう、滑らかに。そうですね。僕は枯れないでしょうね。僕はそう言って小さく微笑む。
お前は誰よりも美しい。だから、何時迄も、何時迄も、僕の傍で咲き続けておくれ。
先生はそう言うと、悪戯を仕掛けた幼子さながら微笑んだ。
はい。何時迄も、何時迄もお傍におります。僕はそう答えながら、今は枯れてしまった小さな花に想いを馳せて目を閉じた。
雨は飽きることなく降り続いている。
終
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