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第7話 新たな事件
一月中旬。寒さが一層厳しくなり東京に近年稀に見る大雪が降った翌日。係長の氷野に他の所轄への異動辞令が降りた。
代わって一月二十二日より新しく大塚警察署刑事課強行犯係の係長として着任したのは、風間寿治警部補……四十五歳。
黒髪をオールバックに固め、猛禽類のような鋭い目つきにおそらく柔道によって潰れたであろう両耳を持つ彼の風貌は、今一度捜査員たちの気を引き締めるには十分なものだった。
全体の顔合わせを済ませた後、風間は緑と琥珀を連れて休憩スペースの自動販売機の前に居た。
「千歳、お前は変わらずブラックでいいのか?」
「はい。ありがとうございます」
「東雲は何が良い?」
「あっ、自分も同じもので。お気遣いありがとうございます」
「おう」
風間は五百円玉を入れてブラックコーヒーを二本と、自分用に微糖を選んだ。
風間がお釣りを回収している最中、どうやら彼と面識のある様子の緑に琥珀は声を掛けた。
「あの、風間係長と千歳先輩はどこかで一緒だったんですか?」
「そう。私が卒配(卒業配置)でいた田無警察署の指導部長(指導係の巡査部長)が風間さんだったの」
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