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「トオルー♡朝ごはんだよー♡」
「起きれん………」
「横になってたらいいよ。ハイあーん♡」
貰い物だと言う地元産タコとブロッコリー、枝豆、クスクスのサラダ……あ〜♡素材を纏め上げるジェノバソースの風味が癖になりそうだ。
完全に酒のアテっぽいが美味い。コイツ昔、袋ラーメンを鍋から直で啜る俺にびっくりして、何だかんだと作っては食わせてくれたものだけど。相変わらず料理が上手いし食器もなんかオシャレだ。
「スパニッシュオムレツも美味しく出来たよー♡」
「朝から贅沢………」
「たくさん食べさせて太らせたいんだよー♡」
「フォアグラか。ヘンゼルとグレーテルか」
「最後は僕を鍋にして食べちゃう?」
食っていいなら食いたいわ。骨の髄までむしゃぶり尽くしたいわ。言わんけど。
「あーん!」
「可愛い!」
食ってる最中にやめろと言っても降ってくるキスは甘い。どこまでも甘い。こんなに甘やかされる週末は寧ろ毒なのに抜け出せない。居心地が良すぎて底なし沼状態にどっぷり浸かってしまう。幸せ過ぎて怖い。
「連休は碓氷村に来ない?僕が借りてる工房、寝泊まり出来るようにリフォーム中だから最初のゲストとして」
「工房………」
八雲アカルのアシスタントまで務めたのに、由一郎はいつの間にか家具職人になっていた。建築家でも彫刻家でもなく、家具を作る由一郎の姿を思い浮かべただけでしっくり来た。お前が作る家具はきっとあったかくて、使う人の手や体に馴染むんだろう。
「お……弟がおるんやろ?碓氷村……」
「うん、雪が降るまでこっちには帰らないっぽい」
「お、俺なんか連れてったら気不味いやろ?」
「全然。寧ろ自慢したい。見せびらかしたい。可愛いトオルがにぃにの恋人だって紹介したいー」
何がにぃにだブラコンめ。
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