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  『酒臭い』って文句を言いながら、いっぱいキスをくれるトオル。そんなにヒゲ無しが好きかーそうかー。僕は顔まわりがスースー寒い気がするけど、トオルが愛してくれるなら何だっていい。 「また噛むー」 「だって……」 「弟の前でも着替えられないー」 「それは別にえーやろ」  一週間しないうちに歯型も内出血(キスマーク)も消えてなくなるのが寂しい。かと言って消えないほど激しく噛まれるのも考えものだけど。  それでも僕は、トオルが僕に独占欲を向けてくれるのが嬉しくて堪らない浮かれポンチだ。11年間堰き止めていた想いが溢れて大変なんだ。 「口ばっかりで勃たんやん」 「アルコールのせい……?」 「年のせいちゃうか」  鼻で笑って抱きついて、トオルは僕を寝かしつけにかかる。  薄い胸から聞こえる鼓動とトオルが肩をトントンするリズムが重なって────心底安らぐ。  明朝のリベンジを誓いながら、僕はすーっと眠りに落ちて行った。
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