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   口が悪くて強がりばかりのトオルが素直になるのはセックスの時だけと言っても過言ではなく、僕は餌付けして慣れさせるように努力を惜しまない。 「餌付けゆーな」 「だってホントにいつまでも警戒心解いてくれないからー。僕無しでいられないカラダになって貰わないと不安だしー」 「そんなん……昔からそうやし……電気ケシテ……」  学生時代、痩せて痛々しいほどだったトオルの体。卒業して実家に戻ると少し肉付きが良くなって安堵したものだけど……再会した時にはまた細く細くなってしまっていた。  艶のない褪せた肌がやっぱり痛々しくて、それを隠そうとするトオルもまた痛々しいほどいじらしかった。 「髭、チクチクする?先に剃って来ようか」 「ヤダ……ユウノアホ……」  月の光とドアの隙間から漏れる薄明かりの中、ほとんど手探りで骨張ったトオルの輪郭をなぞる。唇で舌で指で、全身で確かめる。少しずつ上がってゆく体温、息遣い、そして髪からうっすらと煙草の匂い。僕の五感ぜんぶがトオルでいっぱいになる。 「んー、もう柔らかい。自分でした?」 「〜〜〜〜〜っ!」  恥ずかしがって逃げようと抵抗しても離してあげない。  僕は二度とトオルを手離すつもりはない。 「ぁ……!」  ゆっくりゆっくり丁寧に。トオルを少しだって傷つけないように努めて優しく。傷だらけだったトオルを癒してこそ僕も癒される。焦らない焦らない。 「もうっ!焦れったい!動くならちゃんと動けあほんだらっっ」  本当に口が悪いダーリンだ。
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