星を操る堕天使の手は冷たいもの

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 ドキドキしながら校庭に向かった、私殺されて埋められたりしないよね?と怯えながら。  だってこんな風に桐生くんに呼び出されたことなかったし。  こんなケンカみたいなのも初めてだったから。  校庭のど真ん中。  秋の夜はもう随分と寒くて。  桐生くんはパーカーを頭から被ってポケットに手を突っ込んで空を眺めてた。  「家、大丈夫?」    私の気配に気づいてポツリ。  気遣いなんて珍しい。    「チナっちゃん家でテスト勉強してくるって出てきたから」  ホラと肩からかけた鞄を見せると、ふうん、とまた空を見上げるから私も同じように空を見た。  「すごっ…、星が降ってきそう」  夜空に向かって両手を広げた。  山の上にあるこの高校は周りの電気もあまりないから更に夜空の星をより一層輝かせていて。  その壮大な景色に寒さも相まってか涙が落ちそうになる。  「降らせよっか」  「え?」  何言ってるんだ?とチラリと桐生くんを見たら。  「ホラね?」    桐生くんが指さした先で、ヒュンっと星が尾を引くように流れた。  「えっ…?!」  マジック?! 預言者? やっぱこの人天使とか神の使いとかそんな感じの人なの?!  驚き固まった私を見て可笑しそうにクックックと笑って。    「オリオン座流星群、知らない?」
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