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星を操る堕天使の手は冷たいもの
校門前で桐生くんを待った。
あの時は悪かった、とかそんなことじゃない。
あれは桐生くんも悪かったと思うもの。
でも、だからといってお互い喉の奥に飲み込んだ塊で息が詰まりそうになって苦しいのは違うと思うの。
苦しいのは私だけかもしれないけれど、ね。
皆より少し遅れて桐生くんは学校から出てきて校門前にいる私を一瞥をした後で、スイッと横を通り過ぎていく。
「待って!!」
慌ててその後ろを追いかけて並んで歩き出す。
「よくわかんないけど、無視はやめて」
「よくわかんないなら、話かけないで」
「あ、声出せた」
「は?!」
「そろそろ声が出なくなったかもって。だって私以外の誰とも話さないでしょ、桐生くん」
ギロリと私を見下ろした桐生くん、図星だったようだ。
小さなため息と舌打ちをした後で。
「今夜19時、校庭で」
え?私校庭に埋められるの?
人生詰んだのか、と思った瞬間だけど一方で考えてたのは。
19時って我が家はご飯食べる時間だしその後お風呂入りたいし、ドラマ見たらさっさと寝たいし。
「時間厳守、遅れたらどうなるかわかってる?」
半分上の空だったのを見抜かれたのだろう。
美しすぎる顔が少し歪んだ笑顔を浮かべて私を見下ろしている。
ヒッと息を飲みこんで私は壊れたししおどしのようにコクコクコクと何度も頷いた。
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