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「あ、あの、桐生くんっ、あの」
死ぬほど慌てた、こんなの見られて牧野さんたちに話されたら私二度と学校来れなくなっちゃう。
だから。
「お願い、桐生くん! 言わないで、お願い」
恥も外聞もなく涙ながらに桐生くんに頭を下げまくる。
「…いいよ」
その言葉に顔をあげると天使のような微笑み、神様なんじゃないか?
柔らかな髪の毛が夕日に反射して神々しいまでに。
顔のいい人は心も美しいのか、私のような愚か者を許して下さるとは。
「今日からオレの言うこと何でも聞いてくれるんならね」
ね、って小首を傾げた美しい笑顔に思わず頷いてしまってから。
…あれ?今何て言った?
「何でも?」
「そ、何でも、日本語わかる?」
クスリと笑うのはきっと私が理解できてない頭の悪い子だと思ってるからだろうか、この時点で何だかモヤモヤしていた。
「えっと、名前さ、ぶうちゃんでいい?それとも他にちゃんと名前ある?」
「…あります、東風香」
「じゃあ、ふうちゃん。、ぶうちゃんなんて女の子に対して失礼だもんな。顔がぶうちゃんであっても」
…待って、何だこの人、さっきから随分と失礼じゃない?!
「ふうちゃん、顔怖いって、笑ってなよ? 『ぶうちゃんって呼ぶなっ!!!たまには掃除しろ!!!』パンチのことは」
口を目いっぱい横に開いて笑う。
笑ってる、私全然怒ってない、怒ってないから!!
「ふっ、よくできました」
天使のような微笑みを称えて堕天使は私の頭を撫でた。
契約完了しました…。
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